韓流をけん引する4人のドラマ脚本家 _その③ キム・ウニ
3. 韓国版ミステリー/スリラー/サスペンスの大家、キム・ウニ
現在、韓国のドラマ脚本家のうち、最もマニア層が厚いと言われる脚本家を選ぶなら、当然のことながらキム・ウニだ。脚本家キム・ウニは、本ブログ「韓流4大脚本家シリーズ」 (偉そうに、こう名付けてます ^^;; )の①②ですでに紹介した、主にラブコメを描く ①キム・ウンスクや ②パク・ジウンとは違い、ミステリーやスリラー、サスペンスものを中心に執筆する。そのため彼女の作品から男女主人公の胸ときめくラブストーリーはあまり期待しないほうがよい。緊張感あふれ、しっかりとしたストーリーラインが長所なので、女性よりは男性視聴者の支持度が非常に高い。
彼女の初の執筆ドラマは『危機一髪! プンニョンマンション』(2010、主演:シン・ハギュン、イ・ボヨン)で、夫であるチャン・ハンジュンとともに描いた作品だ。チャン・ハンジュンは映画監督兼シナリオ作家として、その当時、妻のキム・ウニよりは認知度が高かった。当時、キム・ウニの脚本家としての力はまだ足りなかったため、彼女は叱られながらシナリオを描いたという。
翌年、チャン監督と共同執筆した『サイン』(2011、主演:パク・シニャン、キム・アジュン)の成功によって1人立ちの礎石を築き、それ以降、1人で描いた『ファントム』(2012、主演:ソ・ジソブ、イ・ヨニ)、『スリーデイズ~愛と正義~』(2014、主演:パク・ユチョン、パク・ハソン)/ユチョン…残念だなぁ…/などが続けてヒットして韓国ドラマ界の新しい「興行メイカー脚本家」の誕生を知らせた。特に彼女の名前を広く知らしめたドラマは、日本でもリメイクされた『シグナル』(2016、主演:イ・ジェフン、キム・ヘス)だ。
『シグナル』はタイムトラベルを捜査スリラーに加えた独特な素材と緊迫感あふれる展開で、その年の主要授賞式での賞という賞を見事さらった。このときからチャン監督に、「脚本家キム・ウニの夫」という名がついて回るほど、彼女のスター脚本家としての地位は上昇した。
その後も、ネットフリックスで制作した朝鮮時代のゾンビもの『キングダム』『キングダム シーズン2』(2020、2021、主演:ともにチュ・ジフン)/好きなんです、チュ・ジフン ^^ /が大きく成功し、韓国のみならず世界的に注目を集めている。
彼女の次回作は智異(チリ)山(韓国の全羅南道・全羅北道・慶尚南道にまたがる)を舞台に山中を駆け巡り遭難者を救出する国立公園特殊部隊を扱った『智異山』だ。このドラマは『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』『太陽の末裔』(ともにキム・ウンスク執筆)などを手掛けたイ・ウンボク監督と意気投合した作品として、そして何よりもチュ・ジフン、チョン・ジヒョンというトップスターが出演予定のため、現在最も期待される作品とされる。それ以外にも『キングダム シーズン3』『シグナル シーズン2』の執筆も予約されている状況なので、彼女の作品を期待するファンは今から興奮している。
キム・ウニの特異な履歴!
キム・ウニは脚本家としては意外な履歴の持ち主だ。脚本家としてデビューする前の80年代、韓国の有名な歌手キム・ワンソンのバックダンサーとして活動したことがあるという点。多少地味に見える現在のイメージからはとても想像がつかない履歴といえる。おそらく、現在の脚本家のなかでも唯一無二の履歴ではないだろうか。
キム・ウンスクとは親友!
主に捜査スリラーを手掛けるキム・ウニの親友は意外にもラブコメを描くキム・ウンスク。全く違ったジャンルを扱うからか、2人はそれぞれが手にできない長所に羨望と尊敬の念を同時に表している。このような関係をお互いの作品からみてみよう。
まず、キム・ウニの『シグナル』の主要な背景である仮想の都市「インジュ市」はキム・ウンスクのドラマ『シティーホール』に登場する仮想の都市名をそのままを使ったと明らかにした。また、キム・ウンスクは自分の作品『紳士の品格』の劇中、男性主人公4人の初恋の相手を「キム・ウニ」という名前にして、その親しい間柄を証明している。
バラエティに挑戦!
今は終焉したが、MBC『無限に挑戦』は数多くのマニア層を抱える韓国の国民バラエティ番組。この番組の熱烈ファンというキム・ウニとチャン監督は、多忙にもかかわらず、同番組の特別プロジェクトに合流する。『無限に挑戦』のなかのコント『無限商事』のドラマ特別版を制作したのだ。ファン心としてはじめたが、どんなドラマより最も難しい作業だったと明かしたこの作品は、全2回の分量で進められ、『無限に挑戦』のメインメンバーである、ユ・ジェソク、パク・ミョンス、チョン・ジュナなどはもちろん、G-DRAGONの初の演技挑戦も見られる。ここに『シグナル』をオマージュしたシーンとともにイ・ジェフン、国村準などの特別出演も目を引き、より面白い。
パク・ジウン作品(年代順)
『危機一髪! プンニョンマンション』『サイン』『ファントム』『スリーデイズ~愛と正義~』『シグナル』『キングダム』『キングダム シーズン2』
ちなみに、コロナで東京に最初に外出制限要請が出されたころ誕生日を迎えた私。ホラーものは絶対見ず、お化け屋敷とかにも絶対に行かないくせに、話題性から見始めた『キングダム』をひとりビクビクしながら部屋で見ておりました。怖かった~
『ファントム』は、当時、韓国にしては変わったタッチのドラマで、面白いな~と思いながら見た記憶が。
그럼, 또 뵐께요(クロム ト ベルケヨ / では、またお会いしましょう) ^^ nib